トピックス
2017年1月1日
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最新判例:介護老人施設管理室長のクモ膜下出血死 H27.8.10 和歌山地裁
被告法人が運営する介護老人福祉施設の事務管理室長であった亡Aが、H22.10月上旬に勤務中にくも膜下出血により死亡。
・同年1月に同僚の退職に伴い業務の引継ぎ等により業務量が増加していた。
・休憩は1日30分、昼は摂らないことが多かったが、摂った日は30分の昼休憩。
・1か月に3回の宿直業務
・週1日休み
パソコンの起動時間及び終了時間に基づいて算定した亡Aの本件発症前4か月間(同年6月上旬から10月上旬)の時間外労働時間は、発症前1か月目が91時間、発症前2か月目が99時間、発症前3か月目が146時間、発症前4か月目が125時間であったことからして、亡Aは、本件疾病発症前に従事していた業務による明らかな過重労働が、加わることによって血管病変等が、その自然経過を超えて著しく憎悪し、本件疾病を発症したと推認されるから、本件疾病の発症と亡Aの業務の間には相当因果関係がある。
被告Bは施設の事務長又は施設長として亡Aの直属の上司であり、又、被告Cは、法人の代表であって、いずれも亡Aが所定休日にも出勤して仕事をせざる得ない状況にあることを認識していたのであるから、亡Aの勤務状況を適切に把握したうえで、亡Aの業務が過重なものにならないように業務内容や業務量を適切に調整・配分する等の措置をとるべきであったのに、当該措置をとっておらず、B及びCには、注意義務を怠った過失があり、亡Aの死亡について亡Aの遺族に対する不法行為に基づく損害賠償責任を負う。
以上のとおり、B及びCに不法行為が認められる以上、法人も不法行為に基ずく損害賠償責任を負う。
逸失利益4936万円
慰謝料 2800万円
(請求容認)
社会福祉法人ひまわり会損害賠償請求事件 H27.8.10判決 和歌山地裁平成24(ワ)192号